紫式部物語
同じムラの中にいると、老いも若いもムラの中の歴史や文化はなんとなく理解してると思って、語られる昔話もストーリーは詳しくてもその背景とかは曖昧です。
そのムラの外からやってきた人がその昔話に興味を持ち、ムラの歴史に詳しくないその人は、まずその歴史を研究して、その背景と共にその昔話をムラの人たちやその外の人たちに語りました。ムラの人たちもその昔話を新たな気持ちで聞く事が出来ました。
この本を読んだ感想がこんな感じです。
以前から読みたかったのですが、単行本しかなくて、文庫本になるのを待ってました。
これは紫式部日記をベースにした紫式部の独白、という形の小説です。もっとも、紫式部の娘がそのまた娘が、母から託された祖母の日記を読む、という意外な冒頭から始まるので、最初からえっ?という違和感に似たものも感じますが。
それに、各女性キャラクターに名前が付いているのも、違和感があるものの読んでいるうちにそれもなくなります(平安時代あたりの女性には個個の名前の記録がほとんど無いです)
あ、これはちょっと?う~んそうではないのでは?とか、その違和感とストーリー展開が融和し、尚且つ紫式部の仕えた時期とかが曖昧ではないので、背景が見えやすく理解がすんなり出来るのも、ライザさんの研究、文才のなせる業でしょう。
宇治十帖を執筆するあたりが、なかなか面白かったというか、う~ん、そうなのか~と興味深かったです。夢浮橋のラストでちょっと外国小説ぽいなあ、と思ってみたり。
読み終わったあと、
やっぱり田辺聖子の紫式部も読んでみたいなあ、という欲望も出ましたけど・・・。
清少納言が「むかし・あけぼの」なら
紫式部「いずこ・むらさき」(公任さんのジョークより)なんてのはどうかしら・・・
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